やるべきことが山積みなのに、取り掛かることができない。
課題が難しすぎて、気が進まない。
やり始めたものの、持続しない。
このような状況に陥って、半ば、諦めている人も多いのではないでしょうか。
そんなあなたは、新しい情報やスキルを身につけるとき、何か決まったルーティーンを持っていますか?
本稿では、集中力に焦点を当て、課題への取り組み方を3つにまとめました。
以下の「3つの集中力向上法」を実践することで、今日からあなたの作業効率も向上します。
1. 取り組む課題を一つに絞る
人は、基本的にシングルタスクしかできない。マルチタスクでは、取り組む課題をスイッチしているだけで、同時に複数の課題をすることは神経科学的にはあり得ない。例えば、仕事で使う〇〇の発表資料を作成しているときに、LINEやメールが届いた場合、一度発表資料の作成を中断し、メールの内容を確認して返信内容を考えているだろう。もちろんメールの返信内容を考えながら、発表資料の原稿を考えることは不可能である。むしろ、マルチタスクでは注意散漫になり、集中力を低下させる傾向にある。その他、作業を行うデスクの上も、取り組む課題以外のものは排除すべきである。もし散らかった部屋で、仕事や勉強をしている場合は、今すぐ片付けから始めることを勧める。物が散らかっていると、その物を避けようとする選択が頭の中で無意識に行われてエネルギーを消費することや、新たな課題対象を見つけてしまうだろう。また、何か食べながら作業するのも、「食べる」というタスクを増やしているので、基本的には集中力を低下させる。ただし、お茶や水などであれば、あまり問題にならないであろう。このようにして取り組む課題を一つに絞ることで、高い集中力を持続させることができる。
2. 具体的な目標を設定する
取り組むべき課題を一つに絞った後は、具体的に達成し得る目標を決めることが重要である。例えば、上記の「仕事で使う〇〇の発表資料を作成する」というタスクでは、今日は「発表の枠組みだけを決める、あるいはイントロの原稿資料まで作る」といったように、明確な目標設定をすると、高い集中力を維持した状態で、その目標に取り組める。目標の難易度が高い場合、その課題を細分化し、難易度を下げると良い。これにより、明確な目標が設定しやすくなる。
例)課題「発表資料を作成する」の細分化
・聴衆と発表時間、場所を確認する
・発表内容の大枠を決める
・原稿をかく
・原稿に合わせてスライドを作成する
・発表練習&修正
実際、目標設定は、何度か繰り返し試することで、適切なレベルを見極めると良い。課題がクリアできない場合は、上手くいなかい方法を見つけた!と思い、難易度を調整すれば、集中力も保ったまま課題に取り組める。
3. 時間を決める
集中力を保つといった観点からは、課題に取り組む「時間帯(タイムゾーン)」と「時間の長さ・間隔(デュレーション)」、「終わりの時間(エンドタイム)」が重要である。
時間帯(タイムゾーン)は、朝、昼、夜の3つに大別して考えると良い。朝は、1日の中で最も「集中力が高い時間帯」なので、発表原稿や論文など文章を作成する作業に向いている。ただし、朝一から、あまりにも難易度が高い課題に取り組むと、1日のリズムも崩れ、逆効果にもなるので、まずは難易度が低く、重要度/緊急度が高い課題から始め、その後、徐々に難易度が高いものに取り組むと良い。昼は、眠くなる時間帯なので、メールのチェック/返信、事務作業などを行うと良い。夜は、「集中力が枯渇する時間帯」になるので、高い集中力を要する作業は向いていない。しかし、多くの方は学業や仕事で、夜に時間を確保しやすいと思われる。そこで、集中力低下をリセットする方法が、軽めの運動である。具体的には、20-30分くらいのジョギングまたは早歩きを行うだけでも、集中力が回復する。そのため、夜に文書作成などの作業を行う場合は、帰宅前後の時間帯に軽めの運動をお勧めする。運動は、健康やストレス軽減にも関連するので、週2-3回行うと仕事やプライベートも上手くいくだろう。ただし、夜は、時間の長さを決めておかないと、睡眠不足になり、翌朝の集中力が高い時間帯への作業にも影響するので、注意が必要である。可能であれば、夜の作業時間分を、仕事や学校へ行く前の朝の時間帯へ移行することで、自然と集中できる環境が作れます。慣れるまでは、少し辛さもあると思いますが、1ヶ月後には、あなたの集中力は爆上がりしているはずです。もちろん、睡眠時間は削らないことを前提としていますので、朝の作業時間分を、逆算して、前夜の寝る時間を決めて下さい。
時間の長さ・間隔(デュレーション)は、基本的に「作業 25分、休憩 5分」を1セットにして、これを繰り返すことで集中して課題に取り組みやすくなる。これは、ポモドーロ・テクニックと呼ばれ、イタリアの起業家/作家であるフランチェスコ・シロリが発案した時間管理術です。「ポモドーロ」はイタリア語で「トマト」を意味しており、これはシロリが学生時代に愛用していたトマト型のキッチンタイマーに由来する。ただし、「時間の長さ」は、人や環境、課題によっても少し異なるので、適切な「時間の長さ」を決める必要がある。
例)
発表の枠組みを決める:作業 15分、休憩 5分、2回
発表原稿(イントロ、結論):作業 25分、休憩 5分、2回
論文作成(方法、結果):作業 45分、休憩 5分、2回
終わりの時間(エンドタイム)は、課題に期限を設けることで、集中力を高める効果がある。終わりの時間を決めずに、時間量を増やして課題に取り組むのは、非常に効率が悪い。この「終わりの時間」を決めるということは、その時間だけは超えてはいけないデッドラインと思っていただければ良い。例えば、会議や学術大会で発表する日が近づいていた場合、爆発的な集中力を発揮し、数時間で発表準備を終えることもあるだろう。もしくは、保育園に子供を預けている人は、帰る時間(=仕事を終える時間)が決まっているので、限られた作業時間をフル活用しようと考えており、表面的には穏やかでも、実は常時戦闘モードである。この状態こそが集中力を高めている。
以上、「課題を1つに絞り、具体的な目標を設定し、時間を決める」ことで、自然と集中力が高まり、仕事や勉強で最高のパフォーマンスを発揮できるので、騙されたと思って一度試してみてはいかがでしょうか。